ガール / 奥田英朗 | 活字中毒

ガール / 奥田英朗

30代のキャリアガールたちの話です。ちょうど私と同世代か、少し上くらい。私も結婚や出産をせずに仕事を続けていたら彼女たちみたいな葛藤がたくさんあったんだろうなぁなんて思いながら読んでいました。


この本には5つの短編が入っています。

「ヒロくん」

ダンナより稼ぎも多く、出世して課長という役職までついてしまった聖子。女の下で働くことを不満に思う年上部下の反発に負けそうになり・・・。

「マンション」

入社して12年、結婚の予定なしという同じ条件の女友達がマンションを買った!それを聞いたゆかりの心はゆれ、マンション購入を夢見るが・・・。

「ガール」

32歳になった由紀子はいつまで自分がガールでいられるのかと不安になってきた。若い頃は当然だった特典(恩恵?)もしだいに減ってきているのを感じている。38才になった先輩のお光がいつまでもガール気分でいるのを複雑な気持ちで見ているが・・・。

「ワーキング・マザー」

シングルマザーの孝子は息子が小学生になったのを機に、営業職へ復帰した。シングルマザーで誰も子育てを助けてくれる人がいない孝子に周りが気を使うのだが、それがまた孝子の負担となり・・・。

「ひと回り」

35歳になる容子は新人の世話係に任命されたのだが、その新人・慎太郎がさわやか青年で容子の好み。でも、ひと回りも年下だったのだ。周囲の女性陣の浮き足立った雰囲気に慎太郎を奪われるような気持ちになってしまい・・・。

という感じで、どれも30代の働く女性たちが強くたくましく生きている様子を書いている本です。みんなかっこいい!自分の仕事に自信をもって生きている感じがします。でも、30代にもなるとただかわいらしく頑張っているだけでは駄目。腹の据わった彼女たちの姿は生き生きとしていて素敵でした。あぁ、私ももう少しキャリアを積んでおけばよかったかなぁなんてうらやましくなる気がしました。もちろん彼女たちにだって悩みや不満はあるのだけど、それを乗り越えていく姿を見せられるとね。いいなぁなんて思ってしまうのです。


きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。

既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても。

(ガール文中より)


この言葉って「ウムム、確かに・・・」って思ってしまいました。いっぱいいっぱいの時って自分だけが焦っているような気持ちになるけど、本当は違うんですよね。みんなそれぞれ違う形で焦ってる。ブルーになったりもする。それは結婚していてもしていなくても、子どもがいてもいなくても同じ。それぞれの暮らしや条件は違っても、同じなんだろうなぁって。


この本は本当にブルーな気持ちや焦る気持ちを吹き飛ばしてくれるものだなと思いました。仕事に行き詰ったり、生活に行き詰っているなら読んでみるといいかも。特に女性!とても気持ちよくすっきりした気分になれますよ。


タイトル:ガール
著者:奥田 英朗
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