ぬるい眠り / 江國香織
文庫の新刊です。ここのところ東京タワーなど夫婦を書いたものが多かったのですが、どうも私にはしっくりこなくて・・・。でも、久々に「あぁ、昔の江國さん風だぁ」といった作品です。なので以前の江國さんの作品が好きな人にはかなりオススメ。ところが、なんでいきなり昔風なんだろーと思っていたら、実はこの短編の多くは江國さんが20代前半の頃に書いたものの寄せ集めなんだそうです。どうりで!と納得。
この本には9つの短編が入っているのですが、「ケイトウの赤、やなぎの緑」は「きらきらひかる 」という作品の主人公たちが10年後という設定で登場します。睦月、笑子、紺くんの3人が主人公ではないのですが少しだけ登場するのがとても懐かしい気持ちになりました。 あとがきで江國さんが自分の小説の登場人物が、「その後もどこかで何とかやっている」と考えることが好きと書いています。ケイトウの赤、やなぎの緑はそんな江國さんの「何とかやっている」がちらりと見えた作品でした。
ラブ・ミー・テンダー
エルヴィス・プレスリーに恋をした母。
毎晩電話をくれるエルの愛に応えるため離婚するといいだして・・・。
ぬるい眠り
別れた彼のことが忘れられずに眠れなくなった雛子
放物線
大学時代の奇妙な友情
災難の顛末
起きたら右足が1.5倍に膨れ上がっていた!
とろとろ
信二といると幸せ。
とろとろの恋、とろとろの日々、とろとろの人生。
夜と妻と洗剤
妻が「別れたい」と言った。夫はそのとき・・・。
清水夫妻
人の葬式に出るのが好きな奇妙な夫婦と出会ってしまい、
葬式の楽しみ方を知ってしまった。
ケイトウの赤、やなぎの緑
博愛主義の不良中年・郎に恋してしまい、離婚してしまったちなみ。
郎と出会った場所は睦月と笑子夫妻の家。
風変わりな夫婦の下に集まる風変わりな人たち。
奇妙な場所
中年の3人の女性が、1年に一度同じ場所で行う奇妙な行動とは。
とても奇妙な人たちや行動。江國さんらしい不思議ワールドな作品です。
久々に江國さんのゆったりとした奇妙な世界を味わうことができて、堪能しました♪
タイトル:ぬるい眠り
著者:江國 香織
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