美丘 / 石田衣良 | 活字中毒

美丘 / 石田衣良

タイトルにもなっている「美丘」は女性の名前。この本の登場人物で、とてつもないパワーと個性をもった女の子です。そして、自分の死が間近に迫っていることを知っているからこそ、光輝くようなパワーを発揮しています。表紙だけ見ているとヌードだし、男女からみあってるし・・・そういう関係の本かな?って思わせるところもありますが、これは恋愛小説。でも、たんなる恋愛小説ではなくて、死というエッセンスが加わっているから短くて濃厚な恋の話です。
大学2年生の太一は大学の同級生6人ほどのグループの中心にいて、そのなかの麻里という子とつき合っていた。麻里はルックスも性格もよく、皆の憧れの的。ある日、太一の前に強烈なキャラと奔放な行動力を併せ持つ美丘があらわれる。彼女の奔放な性格が原因でトラブルになりがちな美丘だが、太一はその嵐のようなエネルギーに次第に魅かれるようになる。太一から告白され、初めて結ばれた夜。美丘は交通事故の手術で移植された硬膜からクロイツフェルト=ヤコブ病 に感染していて、いつ発症してもおかしくない身であることが判明する。残りわずかとなった美丘の生命を前に同棲をはじめる二人。太一は美丘がこの世に生きていた証人になろうと決意するが……。
美丘は自分がいつ死んでもおかしくないという体だということを知っている。だからこそ限りある命を無駄にできないと、必死で生きようとしている。でも、周りから見るとそれはあまりに強い個性と奔放さで奇妙な子と思われてしまうんです。そんな彼女の強い個性に太一は心を奪われて、次第に好きになっていく。でも、その恋は短かった・・・。自分が美丘のように「いつ発病して死んでもおかしくない」という状況におかれたとき、こんな風に強く生きていくことができるだろうかと真剣に考えてしまいました。美丘の強さは自分の弱さを知っているからこそ。本当は恐い。でも、恐がっているだけでは人生がもったいないと考えられる美丘の強さに惹かれました。

それにしても、この表紙の女の子。背中からお尻にかけてのラインが本当にキュート。こんなボディーが欲しい♪うらやましいです。(^_^;)

タイトル:美丘
著者:石田 衣良
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