しゃばけ / 畠中恵
しゃばけ
は本好きの叔母に勧められて読みました。 難しくない上に、おもしろいので小学生の高学年くらいになったら十分楽しめる本なのではないかと思います。主人公の一太郎と妖たちの会話も、なんとなくほのぼのしていて妖怪とは思えないくらい。こんな妖怪たちなら周囲にいてくれてもよいかもしれないなと思うほど、とてもよい雰囲気のストーリーでした。
時代は江戸後期の文政の頃。主人公は回船・薬種問屋を営む大店の跡取り息子である若だんなの一太郎。体が弱くて床につくことが多い一太郎は小さなころから妖怪たちに守られて育っているため、見たり話したりすることができる不思議な力を持っている。このしゃばけ という本は一太郎と周りにいる妖たちの奇妙で温かなお話です。
一太郎は体の弱い自分が大店の跡取り息子だということが、周りに心配や迷惑をかけているのではないかととても気にしています。体の弱い息子を気遣って甘やかし放題の両親と、なぜか子どもの頃からそばにいる人間の姿をした妖の手代たちに見守られて暮らしているんです。そんな一太郎が両親や手代たちに内緒で外出した夜に、殺人の現場に遭遇してしまったから大変!それからというもの、一太郎自身が襲われたり、身の回りで不思議な事件が続くようになり騒動になっていきます。なぜ一太郎は両親や手代たちに内緒で外出をしたのか。身の回りで起きる不思議な事件はなぜ起こるのか・・・。
わくわくしながら、一気に読めてしまう面白さです。登場する妖たちも、妖怪なのに人間っぽいところがいっぱいなんです。おしゃべりが大好きで、すねたりする屏風のぞき、わらわらと周りに集まって来ては一太郎の膝に登ってきて甘える鳴家 (やなり)たち。想像するだけで楽しそうな世界です。ラストには驚いてしまう展開が待っています。続編が読みたくなる作品でした。
著者:畠中 恵