まぼろしハワイ / よしもとばなな
久しぶりによしもとばななさんの新作を読んでみました。新作とは言っても昨年のものなので、出遅れているかもしれませんが・・・。相変わらず「ばななさんらしい」という言葉がぴったりの本でした。
この本には「まぼろしハワイ」「姉さんと僕」「銀の月の下で」という3つの短編が入っているのですが、どれもハワイが絡んでくるお話です。ひとつひとつのあらすじは、書けないです。というか、書きたくても主人公たちの哀しみを私が書いたら薄っぺらくなってしまいそうだから。
もう先入観なしに、ばななの世界へどーんと飛び込んで欲しい感じです。そしたら、間違いなくばななさんの紡ぎだす言葉たちが、ふんわりと受け止めてくれるから。
生と死、人間関係の不思議さ、ハワイという土地の空気。そういったものがすべて絡み合って、とても穏やかなのになんともいえない雰囲気に仕上がっています。
生きるということ
死というもの
家族
人と人との不思議なつながり
そういったことをしみじみと考えさせられる作品でした。
ばななさんの作品って、どうも「死」が必ず大切な部分を担っているような気がします。できれば目をつぶっておきたい死という部分を、あえて掘り出している感じ。でも、嫌な気持ちになるわけではなく、登場人物たちの悲しみは必ず温かな気持ちとともに癒えていく。さわやかな気持ちで読み終えることができます。
著者:よしもとばなな
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